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夏休みに是非おすすめしたい京極堂ミステリー 百鬼夜行シリーズ9選

文庫本が分厚すぎてアコーディオンと呼ばれる京極堂シリーズ。妖怪の名前が小説のタイトルにつけられ、不愛想な古書店の主人中善寺秋彦が解決していきます。民俗学や論理学から妖怪の成り立ちを解いて、事件を解決していく一風変わったミステリー。これまで沢山ミステリーを読んできた人でもどっぷりハマれるシリーズです。
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姑獲鳥の夏は、百鬼夜行シリーズ記念すべき第一作目!

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
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「姑獲鳥の夏」は、作者である京極夏彦先生が「姑獲鳥の夏」を講談社に持ち込みをしたことでメフィスト賞創設のきっかけとなりました。デビュー作品にしてこの厚さ!2005年映画化もされています。

登場人物はたくさんいるのですが、まず始めにこの3人を紹介します。

☆中善寺秋彦(ちゅうぜんじあきひこ) 中野で古本屋を営む男。古本屋の名前は「京極堂」で妻の実家の和菓子屋の名前。武蔵晴明神社の宮司でもある。副業として祈祷師の憑物落としをしている。「この世には不思議なことなど何もない」というのが口癖。偏屈な人物だが、友人が困っているとちゃんと助けにくる。戦中は帝国陸軍第十二研究所に配属されていた。

☆榎木津礼二郎(えのきづ れいじろう) 通称エノさん。「薔薇十字探偵社」の私立探偵。中禅寺の一つ上の先輩にあたる。躁病の気があり静かな登場人物が多い「百鬼夜行シリーズ」(ひゃっきやこうシリーズ)の中ではかなり目立つ存在。眉目秀麗、頭脳明晰、運動神経がよく旧華族の生まれだが、自身は神であり探偵は神の就くべき天職であると言い放つ変人。人の記憶を視ることができる超能力を持つ。

☆関口巽(せきぐち たつみ)小説家。学生時代にうつ病に悩まされ、現在も完治していない。臆病で気が小さく、精神的に不安定。人からの影響を受けやすく、常に事件に巻き込まれている。対人恐怖症の毛があり、場合によっては場面緘黙症になることもある。

「姑獲鳥の夏」あらすじ
小説家の関口巽は中野にある古本屋「京極堂」を訪ねる。そこには、大学の同期で古本屋の主人中善寺昭彦がいた。関口は病院経営を行っている久遠寺家の奇怪な噂を聞こうと中善寺の元を訪れていた。関口は「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うか」と切り出す。京極堂は「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と返す。

久遠寺家には、関口や中善寺の知り合いである牧朗が久遠寺梗子の元に嫁いでいた。久遠寺病院では連続して嬰児死亡が発生していた。牧朗の行方、妊婦の謎、久遠寺家の闇を探るため、京極堂は動き出す。


「姑獲鳥の夏」を読み終わった直後は頭がぼんやりしました。圧倒的な言葉の量で眩暈がする感じです。もうそれは冒頭から始まっていて、この「姑獲鳥の夏」の事件のキーとなる「20ヶ月妊娠している女性」のエピソードは脱線を重ねに重ねって70ページもさかかれています。ここでのどうでもよさそうな話も後半に関わってくるのですが長くてもう、覚えていられません。そして、要所要所で京極堂が民俗学や論理学の見地から妖怪のうんちくを垂れていきます。なんだか読んでいるこちらは煙にまかれているような感じ。そしてラストは圧巻の文章による畳み掛け。尋常じゃないパワーを感じました!

このうんちくによるパワーで、謎を解くというミステリーではなくなっているので読み手の好き好きが分かれるところですが私はこれで一気に百鬼夜行シリーズにはまってしまいました。
おすすめ度:評価5

さらに分厚くなった百鬼百鬼夜行シリーズ二冊目 〜「魍魎の匣」〜

魍魎の匣 文庫版 / 京極夏彦
1,650
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「魍魎の匣」は、百鬼夜行シリーズの二作目です。この作品は、第49回日本推理作家協会賞受を賞賞しました。2007年には映画が公開され、2008年にはテレビアニメが放送されました。

すっかり私は「百鬼夜行シリーズ」にはまってしまい、この「魍魎の匣」が出るのを楽しみにしていました。そして待ちに待った発売日。「姑獲鳥の夏」の倍以上厚い!「百鬼夜行シリーズ」のファンは狂喜乱舞です。

「姑獲鳥の夏」で主要の3人を初回したので、他の重要人物も紹介します。

☆木場修太郎(きば しゅうたろう)榎木津の幼馴染で、関口と戦時中同じ部隊。暴走癖があり東京警視庁捜査一課所属から何度か部署移動している。戦前からの職業軍人。勧善懲悪を求めて刑事になったところがある。そのわりに、職業的規範を逸脱してたびたび暴走する。

☆青木文蔵(あおき ぶんぞう)木場の元相方で東京警視庁捜査一課の刑事。木場を刑事として尊敬している。単独行動を取りがちな木場と対照的に控え目で優等生的なところがあるが要と判断すれば行動力を発揮。性格は実直で真面目で、木場と対照的に我を張ることが少なく上司に好かれる性質。

☆鳥口守彦(とりぐち もりひこ)不定期発刊のカストリ雑誌「實録犯罪」の編集記者兼カメラマン。「實録犯罪」は関口が別名義で執筆する雑誌でもある。京極堂の妹、中禅寺敦子と同業。軽快で嫌味のない性格だがやや粗忽。話の飲み込みが早く、京極堂を感心させることもある。

「魍魎の匣」あらすじ
ある男が電車に乗っていると、向かいに座っている男が匣に向かって囁いているので、中を見せて貰うと匣にはなんと少女の上半身が。しかも、少女は喋っていた。一方、加菜子という少女が同級生の頼子と電車を待っていると、突然加菜子は電車に飛び込み酷い怪我を負ってしまう。
この加菜子の飛び込みから遺産相続、霊能者、バラバラ殺人事件と物語は展開していき、全く関係の無い事件が一つに収束される。バラバラ殺人と加菜子の誘拐、事件の裏に渦巻く「魍魎」とは何なのか。そして、この「魍魎の匣」で京極堂の過去の秘密が明らかになる。

「魍魎の匣」感想
「魍魎の匣」は前作「姑獲鳥の夏」の倍以上の量でした。事件解決のために京極堂の口から「魍魎」のことが語られるのですが、「歴史」「宗教」「心理学」など、多岐にわたる薀蓄が複雑に絡み合っていて、その繰り返しの中で「魍魎」という形がなく得体のしれないものがぼあっとした形で読者の頭の中に浮かび上がってきます。
 最終的に、京極堂本人の口からは、小説家の関口に語られた魍魎の正体は、
「魍魎とはな関口。境界だ」
読んでみるとなるほどなと思える「魍魎の匣」でした。

百鬼夜行シリーズ第三作目は特に難解と言われる「狂骨の夢」

狂骨の夢 文庫版 / 京極夏彦
1,540
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百鬼夜行シリーズ第三作目は「狂骨の夢」です。これもまた「魍魎の匣」と同じく超分厚い作品で読みごたえがあります。今回の「狂骨の夢」のキーワードは骨です。話が複雑に絡み合いなかなか理解するのが難しいのですが、読みごたえがあります。

「百鬼夜行シリーズ」でのさらなる重要人物を紹介します。

☆中禅寺敦子(ちゅうぜんじ あつこ) 中禅寺秋彦の妹。中堅出版社「稀譚舎(きたんしゃ)」の科学雑誌記者。京極堂とは一回り年が離れてて、初めて会ったのが物心ついてから。憎まれ口を叩き喧嘩をする仲。好奇心旺盛な面や論理的思考は兄譲り。ボーイッシュで明るく利発な性格で鳥口、青木の2人から密かに慕われている。

☆今川雅澄(いまがわ まさすみ)骨董店「待古庵(まちこあん)」の店主で、中禅寺らの知り合い。骨董商としての鑑定眼が優れている。戦時中は榎木津の部下だった。おっとりのんびりした性格や愚鈍な印象から頭が悪そうに見えるが、実はかなり頭が切れる。

☆安和寅吉(やすかず とらきち)薔薇十字探偵社の探偵秘書。みんなからは和寅と呼ばれている。榎木津家に仕えていた使用人の息子で野次馬根性が非常に強い。真面目に仕事をしない榎木津に代わって依頼人の話を聞いたりしている。

「狂骨の夢」あらすじ
関口巽はある日、大物小説家である宇多川崇から記憶喪失の妻の相談を受ける。その妻は記憶喪失で海鳴りがすると、殺した夫への恐怖が蘇ってくるというものだった。宇多川朱美は、自分が記憶を失う以前に前の夫を首を切って殺してしまったのではないかとじぶんを疑っていた。

一方、宇多川夫妻が住む逗子で、関口の友人伊佐間一成は体調を崩してしまい、朱美と名乗る女性に世話になる。朱美は自宅に連れて行った伊佐間に、過去に同じ店で奉公していた女性を殺してしまったと告白する。

同じく逗子にあるキリスト教会で、居候の降旗弘と牧師の白丘亮一は、宇多川朱美という女性の懺悔を聞く。彼女は、以前首を切って殺した夫が首をつなげて甦り、自分に会いにくるという。そしてその度に、絞め殺し、首を切っていると言う。「死体が生き返る」なんてことがありえるのだろうか?そんな中、宇多川崇が何者かによって殺害されてしまう。謎が謎を呼ぶ連続殺人事件に京極堂は挑むが、そこには、朱美の壮絶な過去の秘密があった。

「狂骨の夢」読んだ感想
1度ではよくわからない複雑な話でした。あらすじにも書いた通り、話は大きく3つに別れていて、あの時代を生きた女性の哀しさが伝わってきたお話でした。最後の謎がとけるあたりで、ずーっともやもやしていたのが晴れるようで、これぞ憑物落としという感じでした。

仏教の歴史なども学べる「鉄鼠の檻」は、百鬼夜行シリーズ第四弾

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)
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「鉄鼠の檻」(てっそのおり)は、百鬼夜行シリーズ第四弾です。第九回山本周五郎賞の候補作ともなりました。

「百鬼夜行シリーズ」でのさらなる重要人物を紹介します。

☆里村紘市(さとむら こういち)警察の監察医を務める外科医。九段下で「里村医院」とういう病院を開業している。普段は温厚で人当たりのよい人物。しかし、三度のめしより解剖が好きで死体と聞けば里村医院で診ている患者をほっぽって現場に飛んで行ってしまう。

☆竹宮潤子(たけみや じゅんこ)池袋にあるバー「猫目洞」の女主人。木場と親しい。木場には少し好意を持っている様子。口にはあまり出さないが、毎回木場の身を案じている。
バーへチンピラの襲撃を受けたときは、自分よりも高級酒を守ろうとした肝の据わった女性。頭の回転が早く情報通。過去に何かあったようだが、語ろうとはしない。

☆小泉珠代(こいずみ たまよ)譚舎の社員で関口の担当編集者。敦子の上司で、彼女からは「先輩」と呼ばれている。「魍魎の匣」や「狂骨の夢」で本人の意図することなく事件の重要人物を関口に引き合わせいる。結果的に関口が事件に深くのめり込んでしまう原因を毎回作っている。

「鉄鼠の檻」あらすじ
商談のため、箱根の旅館「仙石楼」に滞在していた骨董商今川雅澄は久遠寺嘉親という人物と出会う。久遠寺嘉親は久遠寺医院の院長で「姑獲鳥の夏」の一件以来、東京を離れていた。そこに科学雑誌「稀譚月報」の取材のため「明慧寺」を訪れようと中禅寺敦子がやってくる。しかしその「明慧寺」は京極堂ですら知らない寺だった。

そして、雪の積もった仙石楼の庭園に急に僧侶の死体が現れる。周りに足跡はない。久遠寺老人は榎木津に調査を依頼し明慧寺に乗り込む。同じ頃、京極堂は友人の依頼で古書を運び出すために箱根山を訪れていた。

小説家関口曰く、「檻」のような明慧寺では、次々と僧侶たちが殺されてゆく。警察にも手に負えない明慧寺に憑いた闇を京極堂が暴き出す。

「鉄鼠の檻」感想
「鉄鼠の檻」は、「狂骨の夢」の事件が終わったすぐあとのようです。盲目の男・尾島佑平が、山道で死体のようなものと遭遇。居合わせた謎の僧と問答を始めるところから始まるのですが、すでにこの時点からワクワクしますね!禅僧の歴史、中国、日本の禅宗、悟りについてなどについてのうんちくも読んでいて楽しいです。今回は山下という刑事の人柄が光りました。しかも、よい感じで光ったのではなく、エリート街道をひたすら歩むこの刑事には坊主達だけが住む世界では、自分の常識、知識が全く通用せず何もうまくいかなず、当初は自分の考えを通そうとするのですがやがて諦めます。この諦めが、一種の「悟り」のような感じで魅力的でした。実際の悟りではなく、「鉄鼠の檻」的悟りなのですが物事を理解していなかった人物が一度傷ついて、自分の弱さを発見したことによって、物事の視野が広がり人間として強くなっている様子が描かれいました。

華やかな女性が登場する「絡新婦の理」は、哀しくも美しい話

絡新婦の理 文庫版 / 京極夏彦
1,870
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「絡新婦の理」(じょろうぐものことわり)は百鬼夜行シリーズ第五作目の作品です。
美しい女性が多数登場するこの「絡新婦の理」。古く奇妙な屋敷や桜のシーンなどとってもヴィジュアルが浮かぶ作品です。文章の表現は古臭いんですがすごく綺麗で。織作家の華やかな女性を中心とし、東京都下の怪しく湿った薄暗い感じの対比が際立っています。

「百鬼夜行シリーズ」でのさらなる重要人物を紹介します。
☆増岡則之(ますおか のりゆき)柴田財閥顧問弁護士のひとりでいつも高級そうなスーツを着ています。銀縁の眼鏡がトレードマーク。馬のような男といわれるほど馬面でマシンガントーク。柴田財閥絡みの事件が起こる度に登場。最初は薔薇十字探偵の榎木津に依頼しようと思ったが、結局は京極堂に持ちかけている。

☆川島新造(かわしま しんぞう)木場や榎木津の戦前からの友人。そして飲み仲間でもある。飲み屋で酔い暴れたところを二人に取り押さえられ、以降親しくなる。戦時中、甘粕正彦の腹心として満州で働いていたため、六尺で長身でありながら身軽。その時は特殊な任務に就いていたらしい。

☆妹尾友典(せのお とものり)赤井書房の社員。鳥口の上司。不定期発刊のカストリ雑誌「實録犯罪」の編集長。しかし、編集者は妹尾と鳥口の二人だけ。どんな話題にも食い付きよく喋る子供のような性格。

☆赤井禄郎(あかい ろくろう) 赤井書房オーナー。赤井書房は学習用教材の販売業が本業で出版業は道楽。そのため妹尾が編集長を務める實録犯罪の仕事にはほとんど干渉してこない。

「絡新婦の理」あらすじ
刑事木場は、「目潰し魔」の捜査に奔走していた。そんな中、榎木津との共通の友人川島新造が手がかりを持っているのでないかと疑うが、川島は「蜘蛛に訊け」との謎言葉を残し失踪。

聖ベルナール女学院の生徒・呉美由紀と渡辺小夜子は、望めば人殺しさえ行う悪魔「蜘蛛」とそれを崇拝する「蜘蛛の僕」の存在を知る。教師本田から酷い仕打ちを受けていた小夜子は「本田を殺してくれ」と「蜘蛛」へ叫んでしまい、窮地に陥っていく。

伊佐間は、釣りに訪れた先で骨董と出会い、骨董屋の今川を呼ぶ。そこでは、ちょうど旧家である織作家が葬儀を行っていて、織作家の骨董品も鑑定を依頼される。「蜘蛛の巣屋敷」と渾名される織作の屋敷で彼らは事件に巻き込まれていく。目潰し魔と絞殺魔、二つの事件を裏で操り、完全犯罪を目論む「蜘蛛」は何者なのか?京極堂が織作家の闇を落とす。

「絡新婦の理」感想
「あなたが―蜘蛛だったのですね 」
から始まる「絡新婦の理」。そして、「あなたが―蜘蛛だったのですね 」で終わるラスト。
犯人はなんとなく分かっているはずなのに、やっぱり百鬼夜行シリーズには踊らされてしまいました。蜘蛛の縦糸と横糸になぞらえた構成は本当に素晴らしいです。

民族学のこともワクワクしながら読める「塗仏の宴 宴の支度」

塗仏の宴−宴の支度−(百鬼夜行シリーズ6)/京極夏彦
680
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「塗仏の宴 宴の支度」(ぬりぼとけのうたげ うたげのしたく)は百鬼夜行シリーズ第六弾です。「塗仏の宴」は本作「宴の支度」と「宴の始末」との二部作となっています。二冊合わせたらかなりの分量になります。とっても読みごたえがあるので連休などの時間をつかって一気読みもよし、毎晩ちょっとずつ読むのもよしの作品です!実は、百鬼夜行シリーズの中では私はこの「塗仏の宴」の「宴の支度」と「宴の始末」が一番好きです。河童のルーツが分かる話になっているですよ!

「百鬼夜行シリーズ」でのさらなる重要人物を紹介します。
☆久遠寺嘉親(くおんじ よしちか)「久遠寺医院」の院長。1作目の「姑獲鳥の夏」の事件で京極堂と知り合う。この事件をきっかけに病院を閉鎖し箱根にある「仙石楼」という宿に現在は住んでいる。「鉄鼠の檻」で事件に巻き込まれるが、医者の腕を生かし遠くからでも生者と死者の区別をつけたり、検死を行ったりもした。

☆一柳朱美(いちやなぎ あけみ)伊豆で暮らす女性。元憲兵で現在は置き薬商人史郎が夫。初登場は「狂骨の夢」。過去の事情で逗子市に住んでいたが、事件後、東京に引っ越し。その後、静岡に引っ越す。出身は長野県。代々家で祀っていた「武御名方富命(たけみなかたとみのみこと)」の髑髏を奪うために家族全員を焼き殺された。また徴兵を忌避して失踪した前夫佐田が殺害され、容疑を駆けられるという数奇な過去を持つ。

☆降旗弘(ふるはた ひろむ)元精神科医。実家は小石川にある歯科医。木場とは幼馴染みで、榎木津とも面識がある。初登場は「狂骨の夢」。その時は、逗子市にある教会に居候していたが、事件が解決すると徳田里美(とくださとみ)という水商売の女性のところに転がり込む。子供の頃に奇妙な夢を見て、大学で精神神経医学を学ぶが自己嫌悪に陥り、精神病を発症。京極堂の憑き物落としにより、鬱病はひとまず治る。

「塗仏の宴 宴の支度」あらすじ
小説家関口に妙な取材依頼があった。伊豆山中にある集落が、人ごと全て消えてしまったのだという。関口が調査に赴くと郷土史家を名乗る男と出会う。伊豆山中の集落で関口が体験したのは、6つの妖怪(ぬっぺっぽう・うわん・ひょうすべ・わいら・しょうけら・おとろし)にまつわることだった。

「塗仏の宴 宴の支度」感想
ぬっぺっぽうやうわんなど聞いたことのない妖怪ですが、ぬっぺっぽうはのっぺらぼうのことなんだそうです。こののっぺらぼうというのがどこの妖怪でどんな姿をしているのか人間にとってどんな関わりがあるのかが明らかになっていきます。六つの妖怪に絡めて話が進んで行きます。登場人物も多く少し混乱してしまうのですが、話がどんどん進んでいってページをめくる手が止まりませんでした。妖怪の今から過去にさかのぼっていって妖怪を突き止める京極堂の話が聞いていてとても面白いです。私はとくに河童の話が面白かったです。中国から日本に渡ってきた砂金採りの集団が河童の元だったとはとても驚きました。ここには菅原道真公も関わっていて、菅原道真公は河童の使役者のような扱いをされているんだそうです。一見、河童と菅原道真公には繋がりがあるようには全然見えませんが、紐解いていくと謎が全て溶けてしまうというのが、「塗仏の宴 宴の支度」ではあり楽しめました。後半は、「塗仏の宴 宴の始末」に続きます。
おすすめ度:評価5

超長編の後編作「塗仏の宴 宴の始末」は、百鬼夜行シリーズ第七弾

塗仏の宴 宴の始末 文庫版 / 京極夏彦
1,485
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「塗仏の宴 宴の始末」(ぬりぼとけのうたげ うたげのしまつ)は百鬼夜行シリーズ第七弾です。「塗仏の宴」は「宴の支度」と本作「宴の始末」との二部作となっています。大好きな百鬼夜行シリーズの中でも一番好きな「塗仏の宴」。いよいよ、後半の「宴の始末」へと突入です。

「百鬼夜行シリーズ」でのさらなる重要人物を紹介します。
☆柴田勇治(しばた ゆうじ)柴田財閥会長の柴田耀弘(しばたようこう)の養子です。「魍魎の匣」で直系が亡くなってしまい、柴田財閥のトップに立ちます。温厚かつ真面目な性格ですが、空気を読めず場違いな発言をすることも。「絡新婦の理」では家族全員を亡くした織作茜を妻しようとするが、断られてしまう。商才はない様子。

☆木下圀治(きのした くにはる)東京警視庁刑事部捜査一課に所属する刑事。青木の同僚であり木場の元部下でもある。青木と同じく上司に立てくことはなく、積極的にきげんをとったりする。

☆大島剛昌(おおしま たけまさ)東京警視庁刑事部所属の刑事。木場の元上司で、木場に負けず劣らず荒い男。暴走気味の木場をいつもしかるが、実力も買っていて。木場が本来なら懲戒免職のところを減俸や降格で済むようにしてあげている。

「塗仏の宴 宴の始末」あらすじ
「塗仏の宴」は宴の支度と宴の始末の前編と後編に別れていますが、通しでは6つの妖怪が出てきて話を作っています。そこに出てくる妖怪とストーリーを紹介します。

ぬっぺっぽう 小説家関口は韮山にかつて存在した「戸人村」の調査を頼まれる。調査を頼んだ光保は昔そこで務めていたが、戦後戻って来てみると戸人村は存在そのものが抹消されていた。調査に乗り出した関口たちはこの世にはありえるはずの無いものを目撃する。

うわん 一柳朱美はある日、村上と名乗る男の自殺現場に出くわす。村上は「薬売り」に対して恐怖を抱いていた。朱美の隣人、松嶋ナツの家には新興宗教の勧誘が来て騒ぎになっていた。すると、村上が再び自殺を図る

ひょうすべ 京極堂は、加藤麻美子という女性の祖父の相談を受ける。祖父は最近怪しげな新興宗教のような団体にのめり込み財産を注ぎ込んでいて辞めさせたいのだが、麻美子自身は華仙姑処女という謎の占い師に心酔。彼女もまた多額の寄付をしていた。

わいら 中禅寺敦子は韓流気道会という道場の取材を行い記事を書いたが、反発を買い、門下生らに付け狙われる。その最中、敦子は華仙姑処女と出会う。華仙姑処女もまた韓流気道会に狙われていた。逃げる二人は路地に追い込まれる。そこに榎木津礼二郎が現れて……。

しょうけら 木場は酒場の女主人からストーカーの被害を受けて困っている三木春子という女性を紹介される。ストーカーする男は、春子の一週間の部屋や外での行動を手紙で書いて来るのだという。しかし、春子の部屋を調査しても覗き見が不可能だった。

おとろし 織作茜は羽田という男に家や土地を売ろうとしていた。羽田は言い値で買い取るから、自分の部下になれと迫られる。羽田は部下に静岡県韮山の辺鄙な土地を買うように迫られていて、榎木津礼二郎に調査を依頼。しかし、すっぽかされてしまい茜と秘書の津村を調査にいかせる。

「塗仏の宴 宴の始末」感想
ぬっぺっぽう・うわん・ひょうすべ・わいら・しょうけら・おとろしという6つの妖怪がからむ6編で構成された、「塗仏の宴 宴の支度」と「塗仏の宴 宴の始末」は、大勢の登場人物が入れ代わり立ち代わりでてきて最後には謎が解決されて行きます。読み応えのあるページ数なので、夏休みなど時間があるときにじっくり読むのがオススメです!

京極堂や関口、榎木津らの過去も少し明らかになる「陰摩羅鬼の瑕」

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
1,760
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「陰摩羅鬼の瑕」(おんもらきのきず)は、百鬼夜行シリーズの第八弾です。登場人物も増えていて、京極堂や関口、榎木津らの過去もうっすらと明らかになりさらに楽しく、そしてミステリー色が強くなりました。

「百鬼夜行シリーズ」でのさらなる重要人物を紹介します。
☆長門五十次(ながと いそじ)東京警視庁刑事部捜査一課の刑事。刑事木場のあらたな相棒として登場。じつのところは、よく暴走する木場の監視役も担っています。木場と同じぐらい鋭い観察眼を持っていて地道な捜査を得意とする粘りタイプの刑事。木場とは正反対のタイプ。

☆石井寛爾(いしい かんじ)国家警察神奈川県本部捜査二課の刑事。「魍魎の匣」で初登場。操作能力が低く、度重なる木場の失態の責任を取らされ降格させられた。木場がいうには、出世のことしか考えていない人間。しかし、「狂骨の夢」では警部に返り咲く。

☆山下徳一郎(やました とくいちろう)国家警察神奈川県本部所属の刑事。初登場は「鉄鼠の檻」。高圧的な態度で捜査に当たったため、関係者から疎まれ捜査ができず、さらには目の前で殺人が行われ犯人を取りのがすという失態をおかしてしまう。事件後、降格になったが「邪魅の雫」で再び警部補に返り咲く。

「陰摩羅鬼の瑕」あらすじ
白樺湖畔にある鳥の館。そこの主である由良は、これまで結婚した新婦の命を奪われてきた。一度ならず四度もだ。五度目の結婚を前に、婚約者奥貫薫子の命を守るため、薔薇十字探偵社」の探偵榎木津礼二郎にこれまでの事件解決を依頼する。いきごんでむかった探偵榎木津礼二郎だったが旅先で熱を出し、榎木津礼二郎は小説家の関口に応援を頼む。

元刑事伊庭は過去に三度「伯爵家花嫁連続殺人事件」を担当していた。現在は隠居の身だが、ひょんなことから知り合った京極堂とともに長野に行くことになった。

「陰摩羅鬼の瑕」感想
いつもの百鬼夜行シリーズでは、複数の謎が同時並行していくのですが、「陰摩羅鬼の瑕」では1つの謎を中心にしていますので、他のシリーズよりは読みやすかったです。誰が犯人なのかはすぐ分かる感じなのですが、これが本当に犯人なのか、どこかで覆されるのではないかと疑いながら読んでいました。「陰摩羅鬼の瑕」のテーマは無垢かなと思います。無垢であることと、そのまま無垢で居続けることは現実世界では不可能ですが、その無垢が成立するようにぎりぎりなところで書かれています。だからこそその無垢さが際立って美しいと思えました。舞台設定がとても素敵だったと思います。しかし、読者期待の京極堂のうんちくは「陰摩羅鬼の瑕」では少ないです。ちょっとそこが物足りなかったかもいしれません。また同一視点が「陰摩羅鬼の瑕」では角度を変えて別視点で繰り返し出てくるのでそこが少し読みづらく飽きてしまうところかもしれません。

世界構築と世界崩壊が同時に行われる「邪魅の雫」は、百鬼夜行シリーズ第九弾

毎日クーポン有/ 邪魅の雫 文庫版/京極夏彦
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「邪魅の雫」(じゃみのしずく)は、百鬼夜行シリーズ第九弾です。2005年9月発売と講談社からは発表されましたが、発売は1年ほど延期され百鬼夜行シリーズファンはかなりやきもきさせられた一作です。単行本は通常版の他、「邪魅の雫」の舞台となった大磯・平塚地区限定で特別装丁版が発売され、百鬼夜行シリーズファンのコンプリート心をくすぐりました。

「百鬼夜行シリーズ」でのさらなる重要人物を紹介します。
☆中禅寺千鶴子(ちゅうぜんじ ちづこ)京極堂の妻。西洋風の美人で大人しい見た目をしているが、舌鋒は鋭く京極堂を打ち負かすことができる唯一の人物。実家は京都の和菓子屋「京極堂」。結婚後も実家の手伝いで帰省している。

☆石榴(ざくろ)京極堂の飼い猫。人に化けるといわれる中国金華の猫だそう。あくびをすると柘榴のように見えることから、「ざくろ」と名付けられました。京極堂は化けると思ったから狩ったのにとざくろを邪険しますが、ざくろは京極堂にしか懐かない不思議な猫です。

☆榎木津幹麿(えのきづ みきまろ)榎木津礼二郎の父。元子爵。貿易会社経営。礼二郎に負けず劣らずの奇人で大の虫好き。虫を取りたいがために会社を海外進出させ、それが功を成して戦後の華族の没落を免れる。礼二郎と兄が成人すると生前分与して半ば放逐状態にしてしまう。

☆榎木津総一郎(えのきづ そういちろう)榎木津礼二郎の兄。礼二郎と違ってまっとうな人。生前分与された資金を使いいくつかの会社を経営し成功を収めている。

「邪魅の雫」あらすじ
榎木津礼二郎に持ち込まれた縁談は、なぜか相手都合ですべて断られてしまう。変人だが眉目秀麗で家柄もよい礼二郎なのになぜなのか?不審に思った親族が礼二郎に内緒で調査すると、なんと礼二郎の相手は皆、おかしな死に方をしていた。

一方、元長野県警巡査大鷹はある女性の護衛を依頼される。しかし、女性は大鷹が目を離した隙に何者かに殺されてしまう。また、神奈川県警の石井は知人の画家西田から、知人の女性がある男に付きまとわれて困っている相談を受けていた。事件が起こってからでないと動けないという石井に、西田は密かに「彼」を殺害してしまおうと決意する。3つの事件は全く関係ないようですべて絡み合っていた。

「邪魅の雫」感想
「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「―自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」
 一つの殺人事件であっても、登場人物の数だけ世界が存在する。「邪魅の雫」は、世界ががらりとかわるクライマックスがみどころです。登場人物の数だけ世界が存在しそれを京極堂が整理していくのですが、まさに世界構築と同時に世界崩壊なんです。わたしが見ていた世界は何だったんだ!と叫びそうなほどがらりと京極堂の登場で世界が変わります!
おすすめ度:評価5

まとめ

一風変わったミステリーはクセになります


百鬼夜行シリーズにはまってもう何年でしょうか。この不思議な世界観は本当にくせになります。また作者の膨大な妖怪の知識やうんちくには圧倒されます。1作1作、畳みかけるような文章量だったり、世界ががらっと変わるような瞬間を味わったりと毎回新鮮な驚きがあるのが、この百鬼夜行シリーズのすごいところ。

まだ未読な方、長いお休みのときに是非手に取ってみてください!



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sk0929
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公開日 2016/08/04   最終更新日 2016/08/04   コメント数 コメント(0)
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カテゴリ 本・雑誌・コミック
Tags  姑獲鳥の夏 魍魎の匣 狂骨の夢 鉄鼠の檻 絡新婦の理 塗仏の宴宴の支度 塗仏の宴宴の始末 陰摩羅鬼の瑕 邪魅の雫
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