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お正月にじっくり読みたい小説特集

普段は忙しくて、なかなか時間がとれないけれど、少し時間がとれたら本が読みたいという人も多いでしょう!そんな方におすすめの小説をまとめてみました!
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おすすめ小説紹介〰シャーロック・ホームズの冒険〰

880
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私がおすすめいたしますのは、ミステリー小説として知らぬものはない、シャーロック・ホームズシリーズの三作目にあたる作品です。まず簡単にシリーズ作品全体の紹介を述べさせていただきます。よく知られる通り作者はコナン・ドイルです。軍医として参加した戦争で負傷しイギリスに帰還したワトソンは、探偵シャーロック・ホームズと下宿で同居することになりました。天才的な頭脳と犯罪の知識を持つ一方、かなりの変人でもあるホームズとともに捜査に赴くワトソンは、事件を逐一記録し、記録をもとに手記を発表します。

ホームズシリーズはすべての作品がワトソンの手によって発表されたものという設定であり、ほとんどのエピソードがワトソンの視点から書かれています(一部ホームズ自身が著述したものもあります)。本作はシリーズ中では初の短編集で、有名作品が多数収録されています。ミステリーに慣れていない方や、ホームズシリーズを読んだことのない方でも気軽に読むことができます。ホームズというキャラクターを知るうえでシリーズ第一作の「緋色の研究」は欠かせない作品ですが、「シャーロック・ホームズの冒険」(以下「冒険」)の方が、お試しとしては向いていると思います。「緋色の研究」はホームズの捜査パートがかなり短く、残りの部分がほぼ犯人の回想にあてられる構成となっています。

ホームズの活躍は鮮やかですが早すぎてかえってあっけない印象を持ってしまう、あるいは回想部分で退屈してしまう読者が出てしまうことが考えられます。「冒険」は、この一冊を読むだけでもシリーズの有名エピソードをいくつもおさえることができ、ホームズの鋭い頭脳やワトソンとの絆という、シリーズの醍醐味を感じることができます。短編のため一つ一つをテンポよく読み進めることができます。最初からシリーズすべて読破する気があるのであれば「緋色の研究」から発行順に読むことをすすめますが、雰囲気を感じてみてから続けて読むかどうか決めたいという方やライトなミステリーファンの方には「冒険」から読むことをおすすめします。古典小説全般に慣れていない方でも読みやすく、ミステリーに限らず古典文学の入口としてもありだと思います。

私としても本作はかなりのお気に入りで、シリーズ中で最も好きな作品です。収録作品はみなトリックが秀逸で、ミステリー作品があふれるほど世界中で書かれるようになった現代でも通用するレベルの高さにあり、何度読んでも飽きないものばかりです。特に「ボヘミアの醜聞」や「赤毛連盟」、「まだらの紐」、「花婿失踪事件」が好きです。

「ボヘミアの醜聞」には女嫌いのホームズが唯一認めた女性、アイリーン・アドラーが登場します。シリーズにおいてもミステリー界においても語れずにおけない一作であり、名作であるといえると思います。ミステリーが好きな方もそうでない方も、ホームズファンでない方も、一度読んでみてはいかがでしょうか。

お薦めの一冊〜世界から猫が消えたなら〜川村元気著作

330
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私がこの本を初めて手にしたのは、発売間もない5年ほど前のことでした。『本屋大賞ノミネート』とゆう売りで、書店で手に取ったのを覚えています。この本は、いわゆる流行りの本ではなく、哲学書に近いかもしれません。シンプルに『生きるとゆうことは』と、考えさせられます。少しネタバレしてしまえば、癌が見つかった主人公が、オチャメな悪魔と取引をします。

一日生き延びるため、その引き換えに、主人公の大切なものをこの世界からひとつずつけしていくとゆう取引。自分にとって『たいして価値のないもの』から消していこうと考えていた主人公でしたが、『一日の命』と『たいして価値のないもの』か、イコールになるはずがありません。そして、主人公は苦しみながらも、毎日、自分にとって大切なものを消していく選択をします。そして彼は、一日生きるたび、世界から大切なものが消えていくたびに、今までの人生を、生きるとゆうことを、死んでいくとゆうことを、深く考えるようになるのです。もし自分が同じ立場になったなら、どんな風に考えて、どんな風に行動するだろう。そう考えずにはいられない作品です。

どれだけ生きたかではなく、どう生きたか。そして、過去の自分の行いと向き合い、どうけじめをつけていくか。冒頭の、究極の選択を迫ってきた悪魔。でも、それは自分自身の本当の心を知る自分自身かもしれないし、生きることの本当の意味を教えてくれた神様かもしれません。自分にとって大切なものをひとつ消して、一日自分ひとりが生き延びる…。

多分、世界のどこかでは、それが消えることによって、悲しんだり苦しんだり困ったりする人が出てくるでしょう。その葛藤に苦しんで、ついに主人公はある決断をします…。主人公の見せる、癌であるのにとこか抜けてる部分であったり、悪魔の時おり見せるオチャメな部分にホッとします。小説の中で、確かにこの主人公の息遣いまて感じる作品です。普段私たちは、命がまるで永遠に続くかのように生きている気がします。その限られた命の中で、誰に何を伝え、どう生きていくのか、考えさせられた作品でした。

映画にもなり、ご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが。余談ですが、私も主人公同様、早くに母を亡くしました。そして、主人公の母の気持ちと私の母の気持ちが重なったように感じて、不覚にも、泣けて泣けて仕方ありませんでした。少し古い作品になりますが、秋の夜長に心を洗われる、お薦めの一冊です。
おすすめ度:

「図書館戦争」有村浩著を読んで。

6,912
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私はレンタルビデオで「図書館戦争」をみていたのですが、本はどのような内容になっているか、気になって手に取ってしまいました。まず、書くきっかけからおもしろい。旦那と地元の図書館に行ったら、「面白いものがあるよ」とよばれまして。入り口のところに、「図書館の自由に関する宣言」のプレートが掲げられていたというもの。旦那の臭覚もすごいですが、著書は見た瞬間に、これは小説になるぞ、「早く書かないと誰かに取られちゃう!」と思ったそうです。これは、私にはありえません。誰かに取られるなんて思いません。

ということで実話ではなく、想像による物語です。想像による物語なのですが、登場人物の言葉は実話を題材にしたように活き活きとしています。主人公は、図書を守る立場の女の子。生まれたときから行き過ぎた図書の検閲がある時代を生きています。図書を守る立場を目指すきっかけになった出来事は、高三の時です。検閲対象の図書が押収されると読むことができません。読みたい本が出版されることになったので本屋に行くと、検閲に出くわしてしまいます。読みたい本を手に取ったけれども回収されてしまうと読めなくなってします。その時に、図書を守る立場の男が現れて、検閲対象図書を回収から救ってくれます。

検閲から守った本を女の子に渡したのです。王子様誕生です。これがきっかけで、図書を守る立場になろうと決心します。王子様に再会したいとの思いもあります。図書を守る立場の人は、検閲をする立場と銃撃戦や取っ組み合いもあり、肉体労働の図書を守る部隊は、ほとんど男ばかりです。その中で、一人。本が好きなことは、確かな主人公が描かれています。

主人公の上官は主人公と、よく口論が絶えません。口論だけではなく大柄な主人公は、小柄な上司に背面へのドロップキックをしたりもするのです。不器用な主人公ですが、動作は機敏で楽しませてくれます。上司と部下は熱血漢の感じですが、周りは緻密な人で固めています。情報通の同期女性。寮生活も主人公と同室です。様々な情報を集めているって感じです。もう一人図書を守る立場の同期。何事も優秀です。

この図書を守る主人公と後者は教育機関が終わるとエリート部隊に選ばれ辞令をもらいます。お互い、自分にないものを補いながら図書を守る立場を表現しながら物語は進んでいきます。主人公は、果たして王子様に再会できるのでしょうか。という恋愛もありそうですが、図書館を舞台に戦争を思いつく当たりがすごいと思いました。物語は1話完結ではなく、続編があります。秋の夜長、有村浩の世界にたっぷり浸ってみては如何でしょうか。

白井智之作、「人間の顔は食べづらい」の紹介。

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動物に感染するウイルスが流行し、人々が牛や豚などの肉を食べることを避けるようになった日本が舞台の物語です。幸い、人間に対するそのウイルスへのワクチンは開発されたので、人間への感染は心配がなくなりましたが、それでも動物性の栄養素を摂ることがままならなくなった日本では、子供の栄養失調が深刻化していました。そこで出された解決策が、食用のクローン人間を作ることでした。反対する声もありつつも、国の政策としてクローン人間を育てる工場が各地に作られ、一部の金持ちなどがクローン人間を食べるようになります。

この作品は、ミステリー小説でありながら、設定からしてかなりショッキングですが、最初から最後までよくもここまでグロテスクに、しかしリアルに描くことができるなと感心してしまうほどに、グロテスクな表現が目立ちます。しかしミステリー小説ですから、ただグロテスクな表現がつらつらと並べてあるわけではなく、事件が起きて、それを解決していきます。作品内では、食用クローン人間が顧客の元に配達された際、本来切り落として処分されておくべきクローン人間の頭部が紛れ込んでいるという大事件が起きます。

一体誰の陰謀なのか、動機はなんなのか、ミステリー小説らしく推理が行われるのですが、おもしろいのは読者が納得してしまう推理が繰り広げられながら、直後にそれがくつがえされてしまいまた振り出しにもどる、という展開が何度も何度も繰り返される点です。毎回、ついに解決かと思った途端にやはり間違いだったとわかってがっかりする、でも真実が知りたいから早く先を読みたい、そう思ってしまうので、なかなか途中で読むのをやめられない作品です。読み進めていると、推理が非常に巧妙で面白いので、そちらに目が行きがちですが、最後まで読んだ時、作品全体を通してとんでもないミスリードがあったと気付かされます。

作者の技巧にやられた、と思いつつ、この本の構成はそういうことだったのかと納得させられます。もう一回飲みたくなる作品です。作品全体を通して、グロテスクな表現が多いので、そういった表現が苦手な方にはあまりおすすめできないかもしれません。

しかし、ただグロテスクなだけではなく、人間の醜い部分、権力者の傲慢、弱いものの復讐など、現代社会のあらゆる側面が描かれているという点で、大変面白い作品ですので、是非一度読んでいただきたいと思います。

森見登美彦作「夜行」の紹介。

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本屋大賞にもノミネートされた森見登美彦さんの最新作、「夜行」は、書店に並んでいるのを見るとまず、装丁がとても綺麗で手にとって見たくなる本です。物語中で、学生時代の仲間の長谷川さんが失踪してから10年経ち、当時の仲間が久しぶりに会うことになります。その日はちょうど、長谷川さんが失踪したのと同じお祭りが開催されている時期でした。集まった仲間はそれぞれが経験してきた旅の話を始めますが、全員がある1つの連作銅版画に関連した不可解な出来事に遭遇していたことがわかる、というストーリーです。

登場人物たちが一人ずつ順番に語っていくスタイルで、短編集のような構成になっていますが、全ての話に共通する謎の銅版画が不気味さを醸し出しています。全体を通して、文章が非常に読みやすく、気温、風景、人物の容姿などを実際に目で見たり、肌で感じているように思えます。ホラーのようにゾクゾクする描写があったり、夢の中を漂うようなぼんやりとした描写があったりと、息つく間もなく物語の世界へ引っ張り込まれるかのような印象を受けます。登場人物たちの恐怖や焦燥感、不安感などがそのまま伝わってきて、臨場感があります。

物語の最後で、主人公は突然、同じように見える世界なのに何かが違う、いわゆるパラレルワールドへと足を踏み入れてしまいます。その世界では、10年前に失踪したのは長谷川さんではなく、主人公だったことになっていました。現実には起きないであろう展開ですが、ここまでのストーリーの展開と文章の雰囲気から、この展開に不思議とリアリティがあります。

この物語を読むと、実際に私が生きているこの世界にも、実はパラレルワールドがあって、突然そちらの世界に飛ばされてしまうかもしれないし、もしかしたらすでに行き来したことがあるのかもしれないと感じてしまいます。森見登美彦さんの技術ですが、物語を読み進めている間に物語の中でも、どこまでが現実で、どこからが夢なのかがわからないような感覚に陥ったり、あるいは最初から全てが夢だったのかもしれないと思わされたりします。

その感覚が、読後の私の感情にも強く作用していて、しばらくは今生きていると思っているこの世界が現実なのか、夢なのかわからなくて不安に感じてしまいました。夢か現実か、境界がわからなくなってしまう不思議で不可解な世界観を是非体験してもらいたい、大変おすすめの作品です。

私が最近読んだ小説の中でも特にお勧めの1冊は、阿佐田哲也麻雀小説自選集、になります

200
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1975年に双葉社から出版されている作品集になり、「麻雀放浪記」の青春編と16本の短編小説が収められていました。「留置場麻雀」や「居眠り雀鬼」をはじめとする、ギャンブルの世界に全てをかけて生きる勝負師たちが描かれていました。第二次世界大戦終結直後の積込みやすり替えなどのテクニックを重視する、新しいタイプの麻雀の台頭が印象深かったです。

アメリカ軍に支配されている街並みや基地の中でも、武器ではなくギャンブルによって進駐軍を打ち負かしていくシーンが通快でした。いかさまに全てをかける職人たちが、場末のクラブを荒らしまわっていく様子が迫力満点でした。一方ではどんなに華麗な技を披露する優れた技術者でも、同じ客の前で同じテクニックを使うことができない宿命もあります。勝てば勝つほど活躍する場所を失っていき、結果として自分で自分の首を締めていく皮肉な運命を感じました。流浪の定めを背負いながら東京から川越さらには高崎へと街道筋をさまよって、ついには冬の新潟や仙台に佇む様子が思い浮かんできました。

時には銚子の漁師町に出没し、留置場にまでカードの牌を持ち込み麻雀を続ける執念深さが伝わってきました。GIが帰国し始めるとともに、競馬や競輪などの群衆ギャンブルが台頭していく時代の流れを感じることができました。

一匹狼の勝負師の生きづらさや、徒党を組んだ新たな勢力の誕生には一抹のさみしさがありました。戦後のギャンブルの歴史が浮かび上がってくるとともに、若き日の著者自身の姿も思い浮かんできました。戦時中は動員先の工場で博打に明け暮れて、戦後は焼け跡をさまよい歩く様子には哀愁が漂っていました。敵として戦い時には奇妙な友情を見せながら、多くのばくち打ちたちが破滅的な運命を辿り夭逝していくのには胸が痛みました。同じ激動の時代を駆け抜けていった仲間たちへ、著者からのレクイエムが込められていました。

「麻雀の段位は囲碁や将棋ほどには権威がない」、というセリフが心に残りました。世間から価値を与えられることを追い求めていくのではなく、自らの生きざまの中に意味を見出す瞬間が感動的でした。サラリーマンの娯楽やテレビゲームや映画の中にも登場するようになった麻雀には時代の流れを感じました。オンラインゲームに慣れ親しんだ若い世代の人に手に取って欲しい本です。

私が最近読んだ小説の中でも特にお勧めの1冊は、沈みゆく女、になります

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著者であるローラ・カシシュケは、人間にとって不確かな存在や心の中のを淡々としたスケッチスタイルで描き出すことには定評があります。本作品の中でも拒食症の夫を抱えながらモーテルの受付係として客と秘密の関係を続けていくヒロインのレイラの揺れ動く内面がリアルに伝わってきました。著者は小説家として活躍する前には詩人としてボブスト賞を受賞しているだけあって、ひとつひとつのフレーズが美しく響いていました。

オープニングのスキーシーズンで家族連れやカップルなどで賑わっている、物語の舞台に設定されている田舎町のサスピシャス・リバーの雰囲気を味わうことができます。ストーリーの中盤になってシーズンオフに入った時の、閑散として気だるい表情とのコントラストが鮮やかでした。川のほとりの田んぼの真ん中に佇む、チェックのフランネルシャツを着せされた案山子には忘れがたいものがありました。人間のふりをするために作られた存在が、人間の感情を押し殺して生きているヒロインの姿に重なりあっていきます。

経済的に豊かなはずの主人公が何故かお金を求め続けて、集めたお金で何を手に入れるのかそのミステリーに引き込まれていきます。ヒロインを外の世界へと導き出す行きずりの青年である、ゲイリーの登場シーンが印象深かったです。

ハンサムなルックスとは裏腹に暴力的な振る舞いを繰り返し、時には甘い言葉でレイラを翻弄していく怪しげな魅力が溢れていました。レイラを破滅的な運命へと誘い出しておきながら、自らの身体をコントロールすることができない弱さもありました。ゲイリーと出会うことによって、自らの忌まわしい過去と向き合っていく主人公には胸が痛みました。過去と現在が烈しく交錯していく中でも、若くして亡くなったレイラの母親への思いが感動的でした。「自分が思っているほど実は強くない男たち」というセリフが印象深かったです。

人間の持っている外見上の強さだけではなく、内面的な弱さを一貫としたテーマにしている著者らしい言葉でした。虚勢を張って生きてきた男たちのもろさと、一見すると儚いイメージを持ちながら内なる強さを秘めた女性が対照的でした。この小説はカナダのケン・ストップケウィッチによって映画化され、その映像美で有名です。ヒロインの揺れ動く心は原作でしか味わうことができないので、多くの人に手に取ってほしい本です。
おすすめ度:

まるで現場に居合わせているようなスリル満載の『解錠師』はミステリー好きには特にオススメの小説です。

1,034
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。『解錠師』はアメリカのスティーヴ・ハミルトンという作家の小説で、翻訳家の越前敏弥が見事に翻訳しているので違和感なくすっと読み進めることができます。物語の主人公の少年マイクルは、八歳のときに起きたある出来事以降、喋ることができなくなり、ふとしたことから鍵に興味を持つことになるのですが、いわゆるピッキングの技術を身につけてしまったばっかりに犯罪に巻き込まれていくことになります。

ストーリーは、金庫破りとして望まないながらも犯罪者に手を貸すマイクルの現在と、金庫破りにならざるを得なくなった過去が交互に語られていきます。そうして物語の終盤に過去と現在がつながり、マイクルの人生が明らかにされるのですが、純粋な心優しい少年マイクルの姿に私は胸をうたれました。

声を失ったマイクルには解錠という特殊な才能がありましたが、それ以外は絵を描くのが好きだったり、アメリアという女の子に恋心を抱く普通の少年です。そんなマイクルが悲劇や困難に向き合う姿に胸がしめつけられそうになります。また、この小説の最大の見どころは、鍵の解錠や金庫破りにおける精密な描写にあると思います。

金庫破りにおける数字の組み合わせや微かな音の違いといったリアルな描写によって、重厚な金庫がガチャンと開けられたとき、なんとも言えない爽快感を感じました。マイクルは金庫破りの技術をゴーストという謎の人物から教わるのですが、「金庫にふれるときは、それを女だと思え」と言うゴーストとの修行の日々も妙に生き生きと描かれていて、読後も頭に残ります。

本書を読み進めていくと、金庫破りがひとつの芸術のように思えてくると言っても過言ではないかもしれません。私は金庫破りのような犯罪を肯定しているわけではもちろんありませんが、娯楽として非常に楽しめる小説です。そして単なる金庫破りがテーマのミステリ小説ではなく、この小説における「解錠」の意味は、主人公の記憶あるいは心の扉を開くという側面があることに読者は気づくことになります。

『解錠師』はアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞など多くの賞を受賞していて知名度のある小説ですので、多くの書店や図書館で置いていると思います。また、読み始めたら一気に読めてしまう小説ですので、旅行中などにポケットに忍ばせておくのもオススメの一冊かと思います。

私が最近読んだ小説の中でも特にお勧めの1冊は、笑い宇宙の旅芸人、になります

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1986年にかんべむさしが発表した「孤冬黙示録」に続く長編小説第9弾になり、第7回日本SF大賞を受賞している独特の味わいがあるSF文学になっております。1982年の8月から1986年の4月まで「SFアドヴェンチャー」に連載されていたものを、大幅に加筆修正して徳間書店から出版した作品です。全編を通して山下勇三のユーモアセンスたっぷりとしたイラストが豊富に描かれていて、本文中に著者自身の顔写真を貼り付ける斬新な試みも良かったです。

生まれ育った環境も考え方や価値観もまるっきり違う3人の個性豊かな登場キャラクターたちが、ある日突然に別の世界へと旅立っていくオープニングの風景描写からストーリーの世界観に引き込まれていきます。ひとり目のショートショートのアイデアに煮詰まっている冴えない小説家には、コピーライターから作家へと転身した若き日の著者自身の姿が投影されていることを感じました。ふたり目の才能に恵まれていながらも突如としてスランプに陥ってしまい1か月間の充電期間に入っている、駆け出しの落語家の生きざまも良かったです。

上方落語にも思い入れがあり造詣が深くて桂米朝一門との親交も深かった、かんべむさしならではの登場人物でした。3人目の学問と仕事をを続けながら世界中を舟で放浪する、ドクトル・デメンチアの自由気ままな言葉や振る舞いも忘れがたいものがありました。決して出会うことのなかった3つの運命が、バラバラに見えながらも時おり奇妙な繋がりを見せていく冒険の数々が面白かったです。600ページを超えて全7章を超える長い物語の中でも、無駄話と寄り道を繰り返しながらあてどなくさまよっていきます。それぞれの視点や立場から3つの冒険のエピソードを読者自身が体験することになり、ひとつひとつの場面が心の中にしっかりと残っていきます。

物語の中盤である登場キャラクターが呟く、「現実世界と想像世界を区別して生きること自体が前進の妨げ」というセリフが印象深かったです。斬新な設定や展開と常識に捉われることのないアイデアや発想で、次々と新しいタイプの文学を生み出し続けている、かんべむさしの誇りが伝わってくる言葉になっていました。クライマックスシーンに湧き上がる奇妙な感動と3人との別れが惜しまれる感情を、多くの人に味わってほしい本です。

まとめ

有川作品がおすすめ!


有川さんは多数本を出されているので、図書館戦争でハマれば、他の作品にもハマること間違いなしです!



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local_offerシャーロック・ホームズの冒険 local_offer世界から猫が消えたなら local_offer図書館戦争 local_offer解錠師 local_offer人間の顔は食べづらい local_offer沈みゆく女 local_offer夜行 local_offer阿佐田哲也 local_offer笑い宇宙の旅芸人

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2017/11/22   2017/11/22   コメント(0)
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