私が最近見た映画の中でも特に印象に残っている1本は、オリエント急行殺人事件、になります |
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映画「オリエント急行殺人事件」は、2017年の12月8日に劇場公開されたケネス・ブラナー監督によるミステリードラマになっております。もとになっているのはアガサ・クリスティーによる世界的なベストセラーになり、新たな解釈と独自性のある着眼点から映像化されている作品になります。
シャーロック・ホームズと並んで名探偵の代名詞とも言えるエルキュール・ポアロの役には、ベテランの舞台俳優としても活動を続けている監督自らがアプローチをしていきます。お馴染みの口ひげやベルギー訛りのフランス語も忠実に再現されています。ジョニー・デップやミシェル・ファイファーを始めとする、ハリウッドのスーパースターたちによる共演も見所です。ロンドンからヨーロッパ各地を中継してトルコのイスタンブールへと向かう国際列車オリエント急行の走行中の車内で、ひとりの男性が滅多刺しにされる凄惨な殺人事件が発生します。
偶然にも乗り合わせた私立探偵のポアロは、個性豊かな乗客たちの客室をひとつひとつ訪ねていき尋問を繰り返していきます。ポアロの巧みな話術と執念深い捜査により、関係者それぞれがつく微妙な嘘と過去の事件との意外な繋がりが浮かび上がっていきます。莫大な財産と社会的な地位を持っていた被害者に隠されている、裏の顔も次第に明らかになっていきます。ポアロは類いまれな推理力を駆使して、謎めいた犯人の正体を徐々に追い詰めて事件の真相に迫っていきます。
1974年のシドニー・ルメット監督の「オリエント急行殺人事件」見た方にはお勧めです。40年以上前の偉大な映像化作品への、オマージュやパロディーが随所に散りばめられていました。原作の小説は世界各国で翻訳されているだけに、ミステリー文学に多少なりとも造詣の深い方なら犯人やトリックを既に知っているはずです。クライマックスシーンまではりつめた緊張感を維持するために、さりげなく仕掛けられている脚色や演出が心憎いです。
いつしか犯人探しやトリックの謎解きゲームよりも、ストーリーの展開の方に惹き付けられてしまうような不思議な気持ちが湧いてきました.スクリーンを通してこの映画を見ている観客自身が、豪華寝台列車の乗客の気分になることができます。終着駅で待ち受けている驚きの大団円と風景を、是非とも見て頂きたいと思います。 おすすめ度: |
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私が最近見た映画の中でも特に印象に残っている1本は、毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト、になります。 |
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映画「毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト」は、2006年にアメリカで制作されたスティーヴン・シャインバーグ監督によるヒューマンドラマになっております。
20世紀のアーティストの中でも特異な位置を占めている、ダイアン・アーバスの生きざまに迫っていきます。ひとりの女性がアメリカの写真界に与え絶大な影響だけはなく、人間としての揺れ動く心の内面が映し出されていきます。
綿密なリサーチによって忠実に再現しつつ、虚構のシチュエーションやキャラクターを付け加えることでより一層味わい深いストーリーになっていました。冒頭でバスの中で揺られている、主人公のダイアンの不安げな眼差しが印象深かったです。
ヌーディスト達が共同生活を送っているお屋敷の中へと、単身乗り込んでいくシーンが勇ましかったです。自らもすべてを脱ぎ捨てることによって、被写体を正確無比に映し出すダイアンの決意が伝わってきました。1958年当時のニューヨークのファッションや世相が、リアリティー溢れるタッチで映像化されているところが面白かったです。
華やかな世界でスポットライトを浴びながらも、舞台裏で悩み苦しんでいるヒロインの陰のある表情が印象深かったです。とある夜更けに隣りに引っ越してきた黒いマントを被った、謎めいた隣人の秘密に惹きこまれていきます。マントの下は全身毛むくじゃらな青年ライオネルに偶然出会うことにより、更なる不条理な世界へと巻き込まれていきます。写真やポートレイト絵画を始めとする,アートの世界に造詣の深い方にはお勧めな作品になっております。
実在するカメラマンの数奇な運命に、ニコール・キッドマンが繊細な演技によってアプローチをしているところが良かったです。最先端のファッションを見に纏っているきらびやかなモデルだけではなく、世間一般の人たちが「フリークス」と名付けて目をそむけてしまう存在にも恐れることなく向き合っていきます。
ハンディキャップを抱えている人たちを異形の存在として捉えることなく、ありのままにレンズの向こう側から見つめていく姿には胸を打たれました。1980年にイギリスとアメリカで制作されたデヴィッド・リンチ監督の「エレファント・マン」に涙した世代の方たちには、是非とも見て頂きたい映画になります。 |
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私が最近見た映画の中でも特に印象に残っている1本は、プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード、になります |
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映画「プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード」は、2017年の12月2日に劇場公開されて現在でも上映中のジョン・スティーヴンソン監督によるヒューマンドラマになっております。ジム・ヘンソン監督のアシスタントを務めてきた若手映画作家による、本格的な長編劇映画のデビュー作になります。
ウィーン古典派三大巨匠のひとりであるモーツァルトの生誕260年を記念して、イギリスとチェコの2ヵ国で合同制作された作品でもあります。綿密なリサーチと丹念な時代考証によって忠実に再現された、18世紀末ヨーロッパの街並みと独特な世界観が見所です。
社交界と芸術家の切っては切れない複雑な関係性をリアルに描き出していて、スリリングなストーリー展開に惹き込まれていきます。中世の面影を色濃く残すチェコの首都プラハで、モーツァルトは歌劇「フィガロの結婚」のリハーサルに打ち込む毎日を送っています。
新たな楽曲「ドン・ジョバンニ」への創作活動に行き詰まり思い悩んでいたモーツァルトは、ある日偶然にもひとりの新人女性オペラ歌手と巡りあいます。若さと才能に満ち溢れて心優しいスザンナに、今まで音楽一筋で生きてきた希代の天才作曲家の心は激しく惹き付けられていきます。その一方ではスザンナのパトロンとなって芸能活動を経済的に援助してきたサロカ男爵は、多くの社交界の女性たちとの関係を続けながらスザンナに異常な執着心を抱いています。
男爵によって狡猾に張り巡らされた罠によって、モーツァルトのスザンナへの一途な恋愛は次第に引き裂かれていきます。アナイリン・バーナードやモーフィッド・クラークを始めとする端正な顔立ちの俳優さんたちが、豪華絢爛なアクセサリーや衣装を身に纏った姿が美しさ溢れていました。アニメーションや特殊効果の技術者として映画制作に携わってきたスティーヴンソン監督だけあって、オペラのステージや仮面舞踏会のシーンにはイリュージョン的な迫力がありました。
どろどろの男と女の三角関係を映し出しつつ、芸術の真髄に迫っているところが面白かったです。クライマックスに向けて盛り上がっていく音楽への情熱と、純真無垢なふたりの男女の恋愛模様には胸を打たれました。映画だけではなくクラシックミュージックに造詣の深い方には、是非とも見て頂きたいと思います。 |
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私が最近見た映画の中でも特に印象に残っている1本は、希望のかなた、になります。 |
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映画「希望のかなた」は、2017年の12月2日に劇場公開されて現在でも上映中のアキ・カウリスマキ監督によるヒューマンドラマになっております。兄のミカ・カウリスマキと配給会社を設立したり映画館を運営したりと独自の活動を続けている、フィンランドの個性派映画作家の最新作になります。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞に輝くなど、国内外を問わずに高く評価されている作品です。2011年の傑作「ル・アーブルの靴みがき」から6年ぶりに発表された本作品は、難民3部作と位置付けられた第2弾でもあります。希望の見えない今の時代や世界に鋭いメッセージや批判を投げ掛けつつ、何事にも屈することのないマイノリティの人たちの生きざまが映し出されていきます。
カリードはシリア難民としての故郷でのつらい思い出を引き摺りながら、トルコを中継してフィンランドの首都であるヘルシンキに自由と平和を求めて流れつきます。外国人でもあり難民でもあるカリードは、差別的な言動や暴力的な振る舞いのターゲットになってしまいます。空腹と貧困に耐え忍びつつ、生き別れになった妹を探して毎日のように街中をさ迷い歩きます。
ある日偶然にもカリードに深い理解を示すレストランオーナーのヴィクストロムと出会い、個性豊かな同僚たちやお客さんと心を通わせながら彼のお店でアルバイト店員として働き始めることになりました。シリアから大きな夢を抱いてフィンランドにやって来た主人公が、難民申請を却下されてとしてヘルシンキの収容施設に入れられてしまうシーンには胸が痛みました。
おおらかな寛容性を持ち多様な生き方や価値観を尊重してきたはずの北欧社会にも、ネオナチズムの高まりや移民排斥運動の暗い影が差していることを感じました。その一方ではカリードが移民専用の収容施設の中でかき鳴らす中東の伝統的な楽器であるサズの音色や日本食レストランのエピソードからは、国境や人種を越えて伝わってくる優しさがありました。
暗く重苦しいテーマを描きつつも、ユーモアやとぼけた味わいを忘れないところは相変わらずでした。見せかけの希望を押し付けられた現在の社会の中にも、現実と向き合いながら戦っていく人々の姿には胸を打たれました。ベント・ハーメルやラッセ・ハルストレムを始めとする、北欧映画に造詣の深い方には是非とも見て頂きたいと思います。 |
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私がおすすめしたいと感じる面白い映画 キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー |
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私は趣味で様々なジャンルの映画を見ているのですが、今一番おすすめしたいと感じる映画は『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』です。
この映画はマーベルシネマティックユニバース、通称MCUの中の一作品となっていて、三部作であるキャプテンアメリカの二部作目にあたる作品です。第一部作ではキャプテンアメリカの誕生から戦争を描いており、時代設定も90年代となっていましたが、今作は舞台が現代に変わりS.H.I.E.L.D.(シールド)という世界を守る組織での活躍が描かれていきます。
私がおすすめしたいと感じる要素は大きく二つ挙げられます。まず一つ目は、アクション要素がとても多くかっこいいという点です。もちろん、アクションに力を入れている映画は沢山あると思いますが、私が見た映画の中ではかなり上位に入るほどのシーンが沢山ありました。中でもおすすめはエレベーターの中で人が密集していながら戦闘を行うというシーンです。
戦闘機などを使用した戦闘シーンや一対一での決闘のようなシーンもあり、そちらもとても素晴らしいのですが、あえて狭い場所でキャプテン一人対敵複数人という構図を考えたのはとても素晴らしいと感じましたので一番おすすめしたいと感じるシーンに選びました。二つ目は物語の設定です。アベンジャーズでの戦いを終えたキャプテンはS.H.I.E.L.D.に所属しましたが、内部に大勢ものスパイが潜入されており指名手配されると共に組織は壊滅状態になってしまいます。
さらに飛行船を利用したインサイト計画を乗っ取られてしまい、アベンジャーズメンバーであるアイアンマンことトニー・スタークやドクター・ストレンジを始め、脅威とみられる存在を全て消してしまおうという作戦をとられるのです。さらに、第一部作で死んだはずだった親友のバッキー・バーンズが敵の組織の一員として生きていたりと大きな展開が次々と繰り広げられていきます。誰を信じればいいか分からないというスリルのある物語とMCUの映画を見たことがある人ならより楽しむことができる細かい部分の設定がこの映画の魅力をさらに大きくしていると感じています。
要となるアクションと物語のどちらをとっても素晴らしく、それでいてヒーローのカッコよさもありますので幅広く楽しむことのできる映画だと思います。まだキャプテン・アメリカやMCUの作品を知らないという人には特に、一度見てほしいと感じています。 |
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私が最近見た映画の中でも特に印象に残っている1本は、トランスポーター、になります。 |
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映画「トランスポーター」は、2002年にアメリカで制作されたルイ・レテリエとコリー・ユンのふたりの共同監督によるアクションドラマになっております。
製作総指揮と脚本をリュック・ベッソンが務めている、大ヒットシリーズの記念すべき第1弾作品になります。主人公のフランク・マーティン役を、ジェイソン・ステイサムが華麗に演じているのが良かったです。オープニングから愛車である黒のBMWに乗り込み、クラシック音楽が鳴り響く車内で手袋を装着する姿が勇ましかったです。
「契約厳守」「名前は聞かない」「依頼品は開けない」の、3つのポリシーが味わい深かったです。周りの人たちだけではなく、自分自身に対しても厳しさを持って向き合っていることを感じることができました。拳銃を突き付けられた絶体絶命の窮地に追い込まれても、不敵な笑みを浮かべているところが印象深かったです。
卓越したドライビングテクニックだけではなく、如何なる場合も沈着冷静で計算高い頭脳が魅力的でした。「運び屋は綿密な仕事だ」というセリフからは、絶対的なプロとしてのこだわりが伝わってきました。今まで決してトランクの中の依頼品を開けて来なかったフランクが、初めて誓いを破るシーンが心に残りました。
もこもこと動き回る黒いカバンの中から、美しさ溢れる女性が飛び出してくる場面がユーモアセンスたっぷりとしていました。全編を通して男たちの戦いが映し出されていく中でも、フランクとともに運命を共にすることになるヒロインのライを演じているスー・チーの純真無垢なイメージには心温まるものがありました。
全身冷血なアンドロイドのようだった主人公に次第に芽生えていく、人間らしい微妙な変化が見どころです。淹れたてのコーヒーと焼きたてのマドレーヌで、つかの間の急速を味わっている様子が微笑ましかったです。人身売買や密輸をはじめとする、卑劣な犯罪行為に怒りを露にする姿には胸を打たれました。
かつては兵士として国のために戦いぬいた、フランクの隠されている過去が徐々に明かされていきます。政治や時代の流れに裏切られ続けた男が国家権力や反社会的勢力に見切りをつけて、一匹狼として生きる決意を固めた瞬間が感動的でした。
「ニキータ」や「レオン」をはじめとする、孤高のプロフェッショナルを描き出している作品が好きな方にはお勧めです。 |
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「ピーター・パン」誕生に至る感動の実話、「ネバーランド」 |
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私がおすすめする映画は、2004年に公開されたアメリカ・イギリスの合作映画、「ネバーランド」です。
主演は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズや「シザーハンズ」などでおなじみの個性派イケメン、ジョニー・デップ。彼の脇を名優ダスティン・ホフマンや、「タイタニック」のヒロイン役などで知られるケイト・ウインスレットなどの大物俳優が固めた、なかなかの力作、秀作です。
その証拠に米アカデミー賞の7部門にノミネートされ、作曲賞も受賞しています。タイトルからは、ディズニーのアニメ映画で有名な「ピーター・パン」の実写みたいなものを想像されるかもしれませんが、全く違います。実際の話を元にした、大人が感動できる名作品なのです。一文で、この映画を短く表現するならば、「作品ピーター・パンの誕生物語」ということになるでしょうか。
舞台は20世紀初頭のロンドン。劇作家のジェームス・マシュー・バリは、ある日散歩していた近くの公園で、没落した名家の未亡人と4人の息子たちの家族に出会います。彼らと意気投合し、バリは父親代わりのようにしばしば一緒に遊ぶようになります。
子供たちのうち、父を亡くし特に心がすさんでいたピーターに、バリは空想小説を書いて遊ぶことをすすめ、子供たちとミニ演劇をしながら楽しむうちに、ある作品の着想を思いつきます。これがまさに、後世で大名作となる「ピーター・パン」でした。
バリは劇の新作としてピーター・パンを初演し、大成功を収めます。しかし、自分を放置して未亡人家族とばかり親密になる夫に反発したバリの妻は、離婚を申し出ます。心を通わせた未亡人も病気で死の床についてしまいます。衝撃を受ける子供たち。
バリは彼ら家族のために、未亡人の病床でピーター・パンを上演。「大人も子供も、いつかは夢の国ネバーランドに行くんだ」とのメッセージを伝え、未亡人も心静かに天国へ旅立ちます。前述したように、この映画のストーリーはほとんどが実話です。
永遠の少年や夢の国はだれの心にもある。バリと子供たちとのふれあいの中で、子供たち、未亡人、バリの妻、周囲の人々、そしてバリ自身も成長していきます。葛藤や衝突、悲しみなども感じながら、みんなが自分なりの「ネバーランド」を探すようになっていく、素晴らしいヒューマンドラマに仕上がっています。
この作品は、近年ではブロードウェイミュージカルにもなったようです。ぜひ一度、ご家族でごらん頂きたいと思います。 |
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私が最近見た映画の中でも特に印象に残っている1本は、ルパン三世 カリオストロの城、になります |
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映画「ルパン三世 カリオストロの城」は、1979年の12月15日に劇場公開された宮崎駿監督によるアニメーション映画になっております。もとになっているのはモンキー・パンチによる大ヒットコミックになり、「ルパン三世」のキャラクターの魅力を広く世に知らしめた作品になります。
ルパンが赤い色ではなくエメラルドグリーンのジャケットを身にまとっていたり、アルファロメオであるはずの愛車がフィアットへと変更されていたりと設定に若干の迷いが見受けられます。1969年のヨーロッパのとある山中にそびえる架空の国カリオストロ公国を舞台に設定して、ルパン三世とその仲間やライバルたちとの間で繰り広げられる冒険の数々が映し出されていきます。
冒頭の国営カジノから強奪した偽札を、車の窓からばらまくシーンが良かったです。海の上を飛び交うカモメのような、舞い散る札束が美しさ溢れていました。ルパンと次元の息の合ったコンビネーションが痛快でした。
ルパン三世シリーズの人気者である石川五ヱ門が本作品ではいまいち活躍しない分、次元の大暴れととぼけた味わいのあるキャラクターの魅力が伝わってきました。宮崎駿監督にとっては映画長編第1作品ながら、アルプスの少女ハイジに出てくるおじいさんをさりげなく登場させる遊び心と余裕が微笑ましかったです。
シリーズを通してのヒロインであるはずの峰不二子も、本作品の中では謎めいた少女クラリスの引き立て役でしかありません。ひとつの指輪がきっかけになって、ルパンとクラリスの過去の因縁が浮かび上がっていく場面が印象深かったです。将来の地位や財産が約束されていながらも、どこか寂しげで陰のあるクラリスの表情には忘れがたいものがありました。失うものを何も持たずに、根なし草のように生きてきたルパンに次第に惹かれていくことが伝わってきました。カリオストロ伯爵を憎みながらも、自分自身の身体の中にもカリオストロの血が流れている矛盾が印象深かったです。
家柄や血のつながりといった古い価値観や考え方から、次第に解放されていくヒロインの姿には心温まるものがありました。孤独で世間知らずだったお姫さまが、自由という何よりもの宝物を手に入れる瞬間が感動的でした。
30年前以上前の映画になりますがデジタルリマスター版やMX4D版が現在でも日本全国の映画館で上映されていたりと時代を超えて愛され続けているので、幅広い世代の方にお勧めです。 |
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チャーリーとチョコレート工場がおすすめ! |
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しんしんと雪が積もる中、傾きかけた家に暮らすチャーリー・バケット(フレディ・ハイモア)は、貧しいながらも家族の愛であたたまる家にひっそりと暮らしています。そんな日々の中で、たった一枚だけ買うことができたウオンカチョコレートの当たりくじを引くところから夢のような物語がはじまります。
世界でたった5人だけの特別なチケットです。それは噂しか流れてこないチョコレート工場への招待状でした。そのチケットをあたった一人、チャーリーは、自分の家の近くにある大好きなチョコレート工場に自分の祖父と共に出かけます。
そこには工場の主のウイリー・ウオンカ(ジョニーデップ)という不思議な人物がいました。風貌も奇妙ですが、何を考えているのかわからないような立ち振る舞いです。その彼に案内され、工場の見学にすすむ子供達と、その保護者は進んでいきます。
子供たちは、お行儀の悪くてウオンカの気に障るような振る舞いをした子供から、いろいろなトラップに引っかかり脱落していきます。親の側から見ていても、その振る舞いは、目にあまります。それをシラーとしたウオンカが済まして制裁を加えていく姿がとてもシュールです。
そして最後に残るのは、チャーリー一人となっていきます。さてかれはそれからどうなったのでしょう。この季節にぴったりで、思わずホットチョコレートが飲みたくなるような作品です。いつも徹底的に役柄になりきるジョニーデップの「ツンデレ」ぶりが子供たちを惹きつけます。
そして一緒に見ている親も思わず、彼が悪いことは悪いと容赦なく子供に罰を加えるところは、ちょっと爽快だったりします。しかしジョニーデップがこの役を演じて有名になった作品ではありますが、その昔、1971年にも映画化されています。タイトルは『夢のチョコレート工場』(メルスチュアート監督)です。
それを今回リメイクすることで、監督は鬼才キムバートンによって仕上げられているのですから面白くないはずはありません。作品の中でウイリーウオンカは、常にどこか何かを考えているような、それでいてすましたポーカーフェイスです。
その表情からは、想像できないすました顔をしながらの、子供みたいなやり方に、誰もが次はどうなる、次はどうなる、と作品に引き込まれます。そして今回のバージョンでは、原作には描かれていない、ウイリーの過去が明かされます。
そんなウオンカのあたたかな一面を知ることで、チャーリーは、1人で生きて来たけれど本当は気持ちの優しいウオンカを友として受け入れます。そのウオンカの心のチョコレートがチャーリーによって溶けているところに、こころがあたたまります。
この作品は、もし、お子さんがいる家庭ならぜひ一緒にみてほしい作品です。そして大人の私達には、本当の人間の持つこころの中を見せてくれる作品でもあります。やさしさとは何か、そんな当たり前のことを忘れつつある大人にあらためてつたえてくれる作品です。
そんな「チャーリーとチョコレート工場」を季節もぴったりの今、ぜひごらんください。 |
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